(4)
彼は
顔にかかる雪で
目がさめました。
(かかる:to shower)
(目がさめる:to be awakened)
He was awakened by a showering of snow in his face.
小屋の戸は
開いていました。
The door of the hut had been forced open;
そして
雪の明かり(雪明かり)で
部屋のなかに
女が見えました。
(明かり:light)
and, by the snow-light (yuki-akari), he saw a woman in the room,
彼女は
白い着物を
着ていました。
(着物:kimono, clothes)
- a woman all in white.
女は
もさくの上に屈むと
彼に
息をふきかけました。
(屈む:to bend down)
(息:breath)
(ふきかける:to blow)
She was bending above Mosaku, and blowing her breath upon him;
彼女の息は
白い煙のように
輝きました。
(煙:smoke)
(輝く:to shine)
- and her breath was like a bright white smoke.
その時
彼女は
みのきちの方を向きました。
(向く:to turn)
Almost in the same moment she turned to Minokichi,
そして
彼の上に、屈みました。
and stooped over him.
彼は
叫ぼうとしました
が、声が出ません。
(叫ぶ:to cry)
He tried to cry out, but found that he could not utter any sound.
女は、少しずつ
彼に近づいて来ます。
(近づく:to come near)
The white woman bent down over him, lower and lower,
そして、彼女の顔が
彼に
ふれそうになりました。
(ふれる:to touch)
until her face almost touched him;
彼は
彼女の目が、とても怖かったのです。
それでも、
彼女が、きれいだ、と思いました。
(怖い:afraid)
and he saw that she was very beautiful, - though her eyes made him afraid.
しばらく、
彼女は
彼を見ていました。
For a little time she continued to look at him;
それから
彼女は、ほほえみ
そして、ささやきました。
(ほほえむ:to smile)
(ささやく:to whisper)
- then she smiled, and she whispered: -
「私は
あの人と同じように
あなたを
殺そう、と思いました。
(殺す:to kill)
"I intended to treat you like the other man.
でも、あなたが、かわいそう。
(かわいそう:pity)
But I cannot help feeling some pity for you,
だって、あなたは若いから。
(だって:because)
- because you are so young....
それに
あなたは、かわいい。
You are a pretty boy, Minokichi;
みのきちさん、
私は
あなたを殺しません。
and I will not hurt you now.
でも、もし、あなたが
今夜、見たことを
誰かに言ったら……
たとえ、それが、あなたの、お母さんでも、
私には、それが、わかります。
そして、あなたを殺します。
(今夜:tonight)
(誰か:anybody)
But, if you ever tell anybody - even your own mother about what you have seen this night, I shall know it; and then I will kill you....
今、私が言ったことを
よく覚えていてください」
(覚えている:to remember)
Remember what I say!"
⇒ Japanese Ghost Stories 雪女(ゆきおんな)(5)